Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIG
みのりは、自分と同じような気持ちを抱いている人たちがいる
ことに驚いた。幼い頃から周囲には当主である母と同じ考えを持つ
人ばかりだった。
(みんながみんな、お母様と同じ考えを持っているわけないんだわ)
現に、娘である自分がそうなのだから当然だろう。
だが、そんな当たり前のことを今さらながら実感する。
重苦しくなっていた部屋の雰囲気が一瞬で和やかなものになった。
しかしその中で山波だけ俯き気味に言葉をつぶやく。
「……まあ、そうなることも一考に値するのかもしれんですな……」
(そういえば山波さんってお母様よりの人だったわね)
獣人との共存を認めるつもりのない彼と口論になったことは
記憶に新しい。
(野臥間さんたちとあんなに親し気なのに、
どうしてそんな考えになるのかしら?)
山波の娘の恋人も獣人だ。娘を取られてしまうという男親の
寂しさからなのだろうか。それにしては頑なだったような気もする。
場の空気に乗り切れていない山波を見つめながらそんなことを
考えていると、野臥間の鼻をすする音が聞こえてきた。
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