Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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 みのりは、自分と同じような気持ちを抱いている人たちがいる

ことに驚いた。幼い頃から周囲には当主である母と同じ考えを持つ

人ばかりだった。


(みんながみんな、お母様と同じ考えを持っているわけないんだわ)


 現に、娘である自分がそうなのだから当然だろう。

だが、そんな当たり前のことを今さらながら実感する。


 重苦しくなっていた部屋の雰囲気が一瞬で和やかなものになった。

しかしその中で山波だけ俯き気味に言葉をつぶやく。


「……まあ、そうなることも一考に値するのかもしれんですな……」

(そういえば山波さんってお母様よりの人だったわね)


 獣人との共存を認めるつもりのない彼と口論になったことは

記憶に新しい。


(野臥間さんたちとあんなに親し気なのに、

どうしてそんな考えになるのかしら?)


 山波の娘の恋人も獣人だ。娘を取られてしまうという男親の

寂しさからなのだろうか。それにしては頑なだったような気もする。

場の空気に乗り切れていない山波を見つめながらそんなことを

考えていると、野臥間の鼻をすする音が聞こえてきた。










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