Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIA




 野木崎に言われ、

涼介は初めて自分が昼食を抜いていたことに気がついた。

みのりは気づいていないのだろうか。


「お昼食べていないの? だってもう三時よ」


 少しズレた答えを返してきた。

この場合、年長である自分に非があるだろう。

何より昨日太一の身は自分が責任を持って守ると言い切ったばかりなのだ。


「すみません……」


 野木崎に詫びるとみのりの隣にいた紅がぼそっと呟いた。


「児童虐待」


 ぐさりと刺さる一言に涼介は肩を落とす。


「ごめんよ、太一君。偉そうなこと言ってたのに」


 太一に向かい頭をさげると、碧が珍しく神妙な面持ちを向けてきた。


「僕たちは野臥間さんからお弁当を用意していただきましたから、

すっかり失念していました。

涼介君、確認もせずに申し訳ありません」

「いえ、碧さんのせいではありませんよ。これは俺のミスですから」


 きっちりとこうべを垂れてくる碧に涼介はかぶりを振る。

自分のことばかりで他に頭が回っていなかった。


(これだから駄目なんだよ、俺……)


 己で決めたことくらい責任を持ってしっかりと果たすべき立場なのに。

これでは太一の祖母に顔向けができない。

拳を握りしめていると太一が袖を引いてくる。


「冴島先生のところでいっぱい羊羹を食べたし、今もプリン

3個も食べたから大丈夫だよ」


 またしても気を遣わせてしまった。

涼介は己の不甲斐なさにめまいがして眉間を押さえていると、

みのりが素っ頓狂な声をあげた。










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