Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIID




(やっぱり野臥間さんに出前頼めばよかったかしら?)


 空腹でイライラしているのかもしれない。

野木崎へ険のある物言いをする涼介を見て、みのりは自分の意見を

押しつけてしまったことを後悔する。


(でも仕方ないじゃない。

早く雪姫のかき氷を作りに行きたかったんだもの)


 心の中で言い訳をしていると、野木崎が深いため息を吐いた。


「案も何も、学業と仕事の都合のつくお休みの日に行きましょう

ってことよ」

「そんな日にちなんて待っていられません!」


 みのりは間髪を入れずに反論する。

涼介を見ていた野木崎が眉間に皺を寄せ、こちらへ顔を向けた。


「そうは言ってもですね」

「かき氷、かき氷って言い続けていた雪姫がずーっと眠って

いるんです。このあとからじゃダメですか?」


 野木崎の気持ちを変えて貰おうとみのりは必死に懇願する。

黄金梅を実らせるためにはこのメンバーが揃っていたほうがいいと

以前涼介が言っていた。今ここで野木崎が抜けてしまったら、

せっかく順調にきていたことが水の泡になってしまう。

それだけはなんとしてでも止めたかった。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む