Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIIG
「ただし、
ちょっと早めの夕飯をみんなで食べたあとに行くことが条件です」
「はい! それはもちろんです」
野木崎が人差し指を建ててきっぱりと言い切ると、
みのりが満面の笑みを浮かべた。
いい顔するなあ。本当に嬉しそうなその笑顔に涼介の胸がざわめく。
葬り去ると決めた自分の想いが疼くのを感じ、涼介は視線を逸らした。
「それじゃあ太一君。お母さんに電話してもらえるかな。
俺がお話したいからって」
太一に水を向けると、太一がこくりと頷く。
「うん。わかった」
元気よく告げられた言葉が頃合いと見たのか碧が場を締めた。
「それじゃ話もうまく纏まったことですし、そろそろお暇いたしましょうか」
「そうですね」
碧の言葉に同意すると、みのりが野臥間へ視線を向ける。
「そうね。野臥間さん長い間お邪魔してしまって申し訳ありませんでした」
丁寧に一礼すると、小越がそれに続く。
「お邪魔しました」
深々と礼をする2人に野臥間が口元を綻ばせた。
「わしの家になら構わんべ。それはそうとみのり様たちは
どうやって帰るんべ? また正志を呼ぶべーか?」
乗り物までも用意してくれそうなその口ぶりに、涼介は慌てる。
そんなことまでお世話になるわけにはいかない。
タクシーなりなんなり呼ぶから、と言いかけた時、碧が山波へ視線を向けた。
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