Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
B
(え、涼介? ……やだ、どうしよう。嬉しい)
わざわざ後ろへ戻り、自分の隣に来てくれたらしい。
てっきり野木崎よりもさらに前にいる太一の元へ行くとばかり
思っていた。みのりはドキドキと脈打つ心臓の音を感じながら、
身体ごと涼介と向き合う。
青年はおどけたような笑みを浮かべていた。その少しあどけない
表情に顔が火照る。きっと顔が赤くなっている違いない。
だが、夕焼けに照らされているため何も問題ないはずだ。
みのりは視線を逸らすことなく涼介を見つめた。
(何か話さないと変に思われちゃうわよね?)
しかし何か言おうとしてもうまく頭が働かなくて言葉が出てこない。
そのままみのりがうっとり見惚れていると、涼介との間を割くように
紅が割り込んできた。
「お嬢さま!」
みのりは紅の声に、パチパチとまばたきを繰り返した。
「どうしたの?」
紅が突き出してきた籠を覗くと、中で眠っていた雪姫がもぞもぞと
目をつむったまま動き出していた。
「あ、雪姫が……」
「雪姫がどうかしたのかい?」
こちらの声に涼介が反応する。一緒になって籠の中を覗き込んだ。
そのあとを碧が続いた。
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