Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





F




「芽衣子ちゃん、君たちは誰と話してるんだい?」


 飛田の発言に芽衣子の目がきょとんとなる。


「雪姫さまよ。小さくてかわいいの。飛田君には見えない?」

「うん。ぜんぜん」


 芽衣子の問いに飛田が肯定していると、小越が鉄でできた歯車をだしてきた。


「それで、この部品たちをどうします? 組み立ててみる、とか?」

「そういえばその部品のことすっかり忘れていたわ」

 口に手をあてて答える律子に小越が控えめに提案する。


「これ、組み立ててみたらきっとかき氷をつくれるんじゃないですか?」


 あの部品を使ってかき氷を作れば雪姫が満足するのだろうか。


(じゃあ、コンビニの氷でも問題ないってことか?)


 いや、それなら橋を記してある古文書が出てくるはずがない。

みのりの意見を聞こうと振り向く。

だが、視線にさえ映らせない、とでも言うように紅が立ちはだかった。

その様子がなんだかあまりにも健気に思えて、涼介は苦笑する。


「君はお兄さん想いなんだね」


 妹を持ったらきっとこんな気分なのだろう。

紅の頭をそっと撫でると、途端に手を払い退けられた。


「触るな」


 見上げながら小さく告げられ、涼介は叩かれた手で頭を掻く。


「ごめんごめん」


 詫びながら微笑むと脇から碧の声がした。


「君たちは何をやっているのかな?」


 移動してきた碧にやんわりと腕を引っ張られバランスを崩す。

なんとか態勢を立て直すと、前方から野木崎たちの声が聞こえてきた。










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