Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
F
「芽衣子ちゃん、君たちは誰と話してるんだい?」
飛田の発言に芽衣子の目がきょとんとなる。
「雪姫さまよ。小さくてかわいいの。飛田君には見えない?」
「うん。ぜんぜん」
芽衣子の問いに飛田が肯定していると、小越が鉄でできた歯車をだしてきた。
「それで、この部品たちをどうします? 組み立ててみる、とか?」
「そういえばその部品のことすっかり忘れていたわ」
口に手をあてて答える律子に小越が控えめに提案する。
「これ、組み立ててみたらきっとかき氷をつくれるんじゃないですか?」
あの部品を使ってかき氷を作れば雪姫が満足するのだろうか。
(じゃあ、コンビニの氷でも問題ないってことか?)
いや、それなら橋を記してある古文書が出てくるはずがない。
みのりの意見を聞こうと振り向く。
だが、視線にさえ映らせない、とでも言うように紅が立ちはだかった。
その様子がなんだかあまりにも健気に思えて、涼介は苦笑する。
「君はお兄さん想いなんだね」
妹を持ったらきっとこんな気分なのだろう。
紅の頭をそっと撫でると、途端に手を払い退けられた。
「触るな」
見上げながら小さく告げられ、涼介は叩かれた手で頭を掻く。
「ごめんごめん」
詫びながら微笑むと脇から碧の声がした。
「君たちは何をやっているのかな?」
移動してきた碧にやんわりと腕を引っ張られバランスを崩す。
なんとか態勢を立て直すと、前方から野木崎たちの声が聞こえてきた。
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