Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「お嬢様、何ぼんやりしているんですか。

雪姫様が大変なことになっていますよ」


 側近の一言にハッとする。


(やだ、今はそれどころじゃないのに……)


 涼介を好きだと自覚してからバカみたいに彼のことばかり

考えてしまう。自己嫌悪に陥っていると、

急に太一が歓喜の声をあげた。


「わぁ! みんな見て! 橋が」


 太一が指差した先へ目線をやる。

先ほどまでオレンジ色に染まっていた空が急に寒々しい灰色に

変わり、ピキピキと音を立て橋が凍り始めた。


「橋が!!」


 涼介が一歩踏み出し、すぐに立ち止まる。

幻想的な風景に律子と麻里が感嘆のため息を吐いた。


「すごい……」

「きれい……」

「何があったの太一君」


 みのりは雪姫と話していた少年の顔を見つめた。

しかし太一は眉を下げ、首を横に振る。


「わかんない。雪姫様にこの橋のことを聞いたら突然目が光って……」


 尻すぼみになる少年の言葉を聞きながら、みのりは橋へ視線を

向けた。橋には氷の膜が覆い、欄干には霜が降りている。

橋のすべてが凍った頃、雪姫がはっきりとした口調で声を発した。










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