Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
IA
「お嬢様、何ぼんやりしているんですか。
雪姫様が大変なことになっていますよ」
側近の一言にハッとする。
(やだ、今はそれどころじゃないのに……)
涼介を好きだと自覚してからバカみたいに彼のことばかり
考えてしまう。自己嫌悪に陥っていると、
急に太一が歓喜の声をあげた。
「わぁ! みんな見て! 橋が」
太一が指差した先へ目線をやる。
先ほどまでオレンジ色に染まっていた空が急に寒々しい灰色に
変わり、ピキピキと音を立て橋が凍り始めた。
「橋が!!」
涼介が一歩踏み出し、すぐに立ち止まる。
幻想的な風景に律子と麻里が感嘆のため息を吐いた。
「すごい……」
「きれい……」
「何があったの太一君」
みのりは雪姫と話していた少年の顔を見つめた。
しかし太一は眉を下げ、首を横に振る。
「わかんない。雪姫様にこの橋のことを聞いたら突然目が光って……」
尻すぼみになる少年の言葉を聞きながら、みのりは橋へ視線を
向けた。橋には氷の膜が覆い、欄干には霜が降りている。
橋のすべてが凍った頃、雪姫がはっきりとした口調で声を発した。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|