Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「あ、そうだったわね」

「そうでした。せっかく満君が座ってくれてるんだから

気持ちが変わる前に話を聞かないとね」


　律子も直実の言葉に同意する。

ケーキの味比べなどに囚われている時間はなかったのだ。

律子は客がいないからと言って隣の席を一人で陣取っている満へ、

視線をやった。だが満は自分たちの会話に興味がないと言わん

ばかりに、アイスティーを飲みながら明後日の方を見ている。


（そんな態度をしていたって満君が聞き耳を立てていること

くらいわかっているんだからね）


　律子は満の心の声を想像し、ほくそ笑んだ。

獣化していないが彼の頭上に、ダークグレイの髪色と同じ獣耳が

見えるようである。


（それにしても麻里さん、かなり緊張してるみたい）

「プライベートな思い出を聞きたいなんて無理言ってしまって

申し訳ないとは思っています。でもどうしても知っておきたくて。

旦那様とはどこで出会われたんですか？

あと、あの、その、どうやってっていうかその……」


　麻里が必死の形相で直実に懇願している。

話してもらえるとわかっていても、何かを言わないと不安になって

しまったのかもしれない。

律子が麻里を微笑ましく眺めていると、直実の笑い声が聞こえてきた。