Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「ふふふ。落ち着いて、ね。

そんな慌てなくても応えられることはちゃんとお話しするわ」


　柔らかい直実の声に麻里も安心したのだろう。

緊張で力んでいた肩の力が抜け、ホッとしたような顔つきで頷いた。


「は、はい。お願いします」

「満君もちゃんと聞いておいてね」

「ケッ」


　満がそっぽを向きながら答える。

やはりちゃんと聞いているようだ。律子は頬を緩ませた。


「それで、えっと、主人とどこで出会ったか、だったかしら？」


　直実が紅茶を一口含んだあと、話を切り出した。

それに、麻里が姿勢を正し元気の良い返事をする。


「はい！　そうです！

道ですか？　お店ですか？　それともお家、とか？」

「ふふふ。主人とは私は、元上司と部下だったのよ。

こう見えて私、結婚する前まで銀行で働いていたのよ」

「え、そうだったんですか？」


　初めて聞いた。律子は瞠目し、フォークを持つ手を止める。

麻里が、感嘆の声をあげた。


「職場恋愛でらしたんですね！」

「そうだったのよ。でもね、私最初は大輔さんの、主人の名前ね。

大輔さんのこと苦手だったのよ」


　ついでのように投下された言葉に、律子は口をぽかんと開ける。

直実を反応待っていたのだろう。満足気にニコリと口元を綻ばせた。