Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　予想通り、といったところなのだろうか。

それとも仲が良くないことのほうが、彼にとって好ましいと

いうことなのだろうか。

表情を計りかねていると、直実が言葉を紡ぎ出す。


「ええ。今思うと、

獣人＝悪者って勝手に思い込んでいたのよね。会ったこともないのによ。

そういう教育をされてきたからって言っちゃうとそれまでなんだけど。

でも同じ教育を受けてても獣人と親しい人はいたのよね」

「獣人と親しいなんてなかなか言えませんからね」


　微苦笑を湛える直実に律子が同調する。

麻里は一瞬迷った後、先刻律子にも話した正直な感想を再度話すことにした。


「私はこちらに来て一ヶ月ほどですけど、獣人さんたちには何度も助けられています。

でも、私が思う以上に今尚、両者の溝は深いんですね」


　しみじみ告げると、律子が真面目な顔で首を縦に振ってくる。


「それはそうよ、だって現にこちら側が獣人は悪者って思ってるのと同じように

獣人側も人間は悪者だって思ってるものね、満君」


　いきなり話を満へ持っていく律子。だが、満は何も答えない。

気になって横顔をそっと見上げると、

眉一つ動かさず無言のまま腕を組んでいる彼の姿があった。

怒ってはいない。だが、先ほどのように穏やかな表情とも違う気がする。


（今度の表情はどいう意味なの？）


　快か不快か。それさえも判然としない。

「人間にもいろんな人がいるように獣人にもいろんな人がいるのなんて

当たり前なのにね。そんなこと思いもしなかったの」

「はあ……」


　満の内心を探るのに必死すぎて、直実の言葉がうまく頭に入ってこない。

麻里は満から視線を外せぬまま直実へ向かい曖昧に相槌を打った。