Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「そうなの。まさか両親をいっぺんに亡くすとは思ってなくて、

何をしたらいいのかわからなくなっていたときに手を差し伸べて

くれたのが大輔さんだったの」


　直実の平然とした物言いに、悲痛そうな表情をしていた麻里の

顔つきが変わる。

身体の緊張が解け、ホッとしたような様子で相槌を打っていた。


「そうだったんですか」

（麻里さんって良い子よねー）


　他者の気持ちに寄り添うことができるのは彼女の素質かもしれない。

律子は、表情をコロコロと変える麻里を眺めながらしみじみと思った。


（まあ、ちょっと考えなしなところがあるのは困りものだけど……）


　これまで振り回されてきたことを思い返し、肩を竦める。


（満君が麻里さんのストッパーになってくれたら、とってもいいと

思うんだけどな）


　律子は聞いていない素振りを見せ続けている満の方へ目をやる。

相変わらずグラスを手に持ち、顔を背けていた。


（興味ない振りしちゃって、本当素直じゃないわよね。

アイスティーの量が全然減っていないことに

私は気づいてるんだからね！）


　せめて視線だけでもこちらへ向けたい。


（満君の琴線に触れるような言葉が出てくればいんだけど……）


　律子は、麻里と会話を続けている直実の話へ耳を傾けた。