Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「え、ちょっと満君！」

「満さん！」


　席を立つ満の名を呼ぶが、彼は振り返ることもせず出て行ってしまう。

テーブルにはくしゃくしゃになった千円札。

変なところで生真面目なのに、

どうして人の話に耳を傾けてはくれないのだろう。

嘆息していると、直実がくすりと笑い声を漏らした。


「最後に約束って言ってたわね。何のことかしら？　わかる？」


　直実の問いに、律子が首をかしげる。


「私にはちょっと……麻里さんは何か知ってる？」


　律子に尋ねられ、麻里は首を左右に振った。


「私にもわかりません。ただ、いつも彼は苦しそうで。

どうにかできればいいんですけど、私には力がなくて」


　説明しているだけでも落ち込んでくる。

考えれば考えるほど遠くなっていく彼の存在に、

自信はしぼんでいくばかりだ。


（これ以上踏み込んだら、満さんの迷惑にしかならないんじゃないかな）


　その予想はおそらく当たっていて、自分は即刻身を引くべきなのだろう。


わかってはいても、一度自覚してしまった想いが邪魔をする。


（しんどいな）


　そっと目頭を押さえていると、直実が口を開いてきた。