Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「麻里さんに力がないことはないわ。

むしろ麻里さんの存在がとても大きくなっているんだと思うわ」


　意外な言葉に麻里はいつの間にか俯いていた顔をあげる。


「……そうで、しょうか……」


　困惑とともに答えると、律子が直実に同意した。


「そうですよね。今、逃げ出したのだって、

満君も人間のすべてが悪いとは思えなくなってきてるってことなのかもしれないし」


　律子の予測に麻里は苦い記憶を呼び覚まし、吐息する。


「でも、敵だって……」

「その敵って言葉だけど、なんだか自分に言い聞かせてるようにも聞こえたわよ？」


　考え考え告げてくる律子を前に、麻里は目を瞬いた。


「え……？」

　予想外の言葉だった。

彼が人間に対して悪感情以外の何かを持っているなんて。

そんなこと、本当にありえるのだろうか。


（でも、確かに辛そうではあるけど……）


　できるならその重みを取り除きたい。

消すことが叶わないなら、せめてその重みを一緒に背負いたい。

そんな利己的な考えが頭を支配していく。


（なんて、おこがましい）


　そして、浅ましい。

いつだったか誰かからお節介だと言われた気がするが、

否定しようがない。

考えを振り切るようにかぶりを振っていると、直実が緩くフォークを振った。