Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IB




「プククク。

君のどうやらみのりお嬢様のように、何か勘違いをされているようだ」


 何を今更。

いくらなんでもこんなふうに気を遣われるのは癪だ。

吐息していると、碧が人差し指を立ててくる。


「ちなみに僕が命より大切に想っているのは紅ですけどね」

「そうでしょう、そうでしょうとも! ……って、え……?

べ、紅……さん? ですか? 命より大切?」


 しきりに頷き投げやりに返答してふと我に返った。

身を固め、改めて碧を見やると、碧が満面の笑みで首肯する。


「ええ」


 碧の答えに一瞬思考が停止した。


(碧さんは何を言ってるんだ?)


 確か碧はみのりを好きで、みのりも碧が好きで……。


(あれ?)


 紅が命よりも大切。みのりではなくて、ということだろうか。

窺うように碧へ視線を向けると、碧が細く長い息を吐く。


「あの子をみのりお嬢様と見つけたときから、僕の目は紅だけを見ています」


 恍惚とした表情で告げる碧の姿に、思考がさらに混乱した。










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