Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





D




「カードキーは合ってるはずなのに入れないなんて」

「おやおや」


 苛立った様子のみのりをよそに、碧は冷静だ。

おそらくこの状況を予測していたのだろう。


(どうしたものかな……)


 こっそりと溜め息を吐いていると、背後から紅が図星をさしてくる。


「締め出し?」


 淡々とした口調はどこか楽しげで、凉介は彼女に好かれていない

事実を思い知った。


(まさか本当にみのりさんが好き、とかじゃなないよな?)


 彼女がライバルとなってしまったら、下手をすると碧よりも強敵な気がする。

考えただけでげんなりして肩を落としていると、

インターフォンから声がした。


『はい。どちらさまですか?』


 インターフォンから流れてきた声は、警備の宮田友孝(みやたともたか)の

ものだった。

友孝はお手伝いの幸恵(ゆきえ)の夫である。


「俺だよ、凉介だ。なんか知らないけど家に入れないんだ。どうなってるのかな?」

『ぼ、坊ちゃん。申し訳ございません。すぐに確認いたします』


 おたおたしている友孝を前に凉介は眉をひそめる。

状況をわかっていないのだろうか。


「急いでるんだ。なるべく早く頼む」


 ぶっきらぼうに答えると、短く了解の声が聞こえ、通信が途絶えた。










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