Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





ID




「ありがとうございます。碧さん。助かりました」


 涼介は碧のほうへ礼を言い戸口から中へと入る。


「僕は何もしていませんよ。君の一言が効いたのでしょう」


碧が応じてくるのと同時にみのりが横に並ぶ。

碧と紅も背後についてきた。

そのさらに背後でためらいがちについてきたのは飛田だ。


(不安だよなあ……)


 まったくと言うわけではないが、

関係のないことに巻き込まれるのはしんどいだろう。

だが、山波を説得するにあたっては、

獣人である彼の存在が必要になる可能性も多分にある。


(すみません、飛田さん)


 内心でそっと詫びていると、横でみのりが吐息する。


「碧の嫌味だってすごかったわよ。あなたが味方で本当によかったわ」

「確かに」


 同意しながらも、ちくりと胸を痛んだ。

やはり碧の本命が紅だとしても、

みのりの想い人が碧であることに変わりはないのだ。


(不毛だよなあ……)


 この想いが煮詰まってしまう前に、引導を渡してしまったほうがいいだろう。


(全部が終わったら)


 みのりへ想いを告げよう。

涼介は今一度決意した。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む