Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
ID
「ありがとうございます。碧さん。助かりました」
涼介は碧のほうへ礼を言い戸口から中へと入る。
「僕は何もしていませんよ。君の一言が効いたのでしょう」
碧が応じてくるのと同時にみのりが横に並ぶ。
碧と紅も背後についてきた。
そのさらに背後でためらいがちについてきたのは飛田だ。
(不安だよなあ……)
まったくと言うわけではないが、
関係のないことに巻き込まれるのはしんどいだろう。
だが、山波を説得するにあたっては、
獣人である彼の存在が必要になる可能性も多分にある。
(すみません、飛田さん)
内心でそっと詫びていると、横でみのりが吐息する。
「碧の嫌味だってすごかったわよ。あなたが味方で本当によかったわ」
「確かに」
同意しながらも、ちくりと胸を痛んだ。
やはり碧の本命が紅だとしても、
みのりの想い人が碧であることに変わりはないのだ。
(不毛だよなあ……)
この想いが煮詰まってしまう前に、引導を渡してしまったほうがいいだろう。
(全部が終わったら)
みのりへ想いを告げよう。
涼介は今一度決意した。
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