Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IF




「さっきも言った通り、山波さんを迎えに来たんです。

彼を連れてきてください。ここにいるのはわかってるんですから」


 はっきり要求してやると、みのりが加勢してくれる。


「そうよ! 文兎先生が山波さんを連れ去ったのを見たんですからね!」


 だが、長兄はみのりの前で肩を竦めるだけだった。


「何かの勘違いではないですか?

みのり様。我が家にそのような者が来た覚えはございませんが」

「嘘よ!」

 わざとらしくしらばっくれる雅秋を一語の元に切って捨て、

みのりは廊下の奥へ向かって呼びかける。


「山波さん! いますよね? お願いですから出てきてください!」


 だが、誰からの返事もない。

雅秋がみのりの叫びを遮り、呆れたような溜め息を吐いた。


「いない、と言っているでしょう?

もしいたとしても、あなた様と会う気はないそうですし」

 雅秋の言葉尻に涼介は奥歯を噛み締める。


「やっぱりいるんじゃないですか!」


 吼えてみせると雅秋の右眉が愉快げに跳ね上がった。










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