Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
IF
「さっきも言った通り、山波さんを迎えに来たんです。
彼を連れてきてください。ここにいるのはわかってるんですから」
はっきり要求してやると、みのりが加勢してくれる。
「そうよ! 文兎先生が山波さんを連れ去ったのを見たんですからね!」
だが、長兄はみのりの前で肩を竦めるだけだった。
「何かの勘違いではないですか?
みのり様。我が家にそのような者が来た覚えはございませんが」
「嘘よ!」
わざとらしくしらばっくれる雅秋を一語の元に切って捨て、
みのりは廊下の奥へ向かって呼びかける。
「山波さん! いますよね? お願いですから出てきてください!」
だが、誰からの返事もない。
雅秋がみのりの叫びを遮り、呆れたような溜め息を吐いた。
「いない、と言っているでしょう?
もしいたとしても、あなた様と会う気はないそうですし」
雅秋の言葉尻に涼介は奥歯を噛み締める。
「やっぱりいるんじゃないですか!」
吼えてみせると雅秋の右眉が愉快げに跳ね上がった。
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