Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
IG
「じゃあ、お前、ちょっと中を見てきたらどうだ?」
挑発してくる雅秋。
目的がわかりきっているだけに、尚更腹が立った。
「そんなことしたら俺が隔離されるに決まってるじゃないですか!」
そんな見え透いた手には乗らない。
決意を込めて雅秋を睨みつけると、碧がくっと皮肉げな笑い声を立てる。
「監禁ですか? 実の弟だとしても犯罪ですよ。
もちろん他人でも犯罪ですけどね」
碧の言葉を雅秋が泰然と受けとめる。
一分の隙も見せてくれない長兄を前に攻めあぐねていると、
後方で紅が飛田の背を押す。
「鹿さん、いけっ!」
けしかける紅に対し、飛田がわかりやすく動揺する。
「ぼ、僕がですか!?」
おたおたする飛田にみのりが追い打ちをかけた。
「芽衣子さんとの交際を許してもらいたいんですよね?」
「い、いや。そりゃそうですけど……」
芽衣子、の名に反応して興奮したのか、飛田の角が出かかる。
(まずいな)
飛田が暴走したところを見たことはないが、取り乱して
我を忘れると厄介だ。
雅秋の背後に控えている黒服たちの存在も気にかかる。
こちらの表情を読んだのだろう。雅秋の片頬があがった。
「おっと、獣人の方にはご遠慮いただこう。お前たち、
この者たちを捕らえなさい」
予想通りに命令を下す長兄を前に臍を噛む。
その間にも黒服の男たちは周囲を取り囲んできていた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|