Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IG




「じゃあ、お前、ちょっと中を見てきたらどうだ?」


 挑発してくる雅秋。

目的がわかりきっているだけに、尚更腹が立った。


「そんなことしたら俺が隔離されるに決まってるじゃないですか!」


 そんな見え透いた手には乗らない。

決意を込めて雅秋を睨みつけると、碧がくっと皮肉げな笑い声を立てる。


「監禁ですか? 実の弟だとしても犯罪ですよ。

もちろん他人でも犯罪ですけどね」


 碧の言葉を雅秋が泰然と受けとめる。

一分の隙も見せてくれない長兄を前に攻めあぐねていると、

後方で紅が飛田の背を押す。


「鹿さん、いけっ!」


 けしかける紅に対し、飛田がわかりやすく動揺する。


「ぼ、僕がですか!?」


 おたおたする飛田にみのりが追い打ちをかけた。


「芽衣子さんとの交際を許してもらいたいんですよね?」

「い、いや。そりゃそうですけど……」


 芽衣子、の名に反応して興奮したのか、飛田の角が出かかる。


(まずいな)


 飛田が暴走したところを見たことはないが、取り乱して

我を忘れると厄介だ。

雅秋の背後に控えている黒服たちの存在も気にかかる。

こちらの表情を読んだのだろう。雅秋の片頬があがった。


「おっと、獣人の方にはご遠慮いただこう。お前たち、

この者たちを捕らえなさい」


 予想通りに命令を下す長兄を前に臍を噛む。

その間にも黒服の男たちは周囲を取り囲んできていた。










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