Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
DIH
「『黄金梅の種』を? 涼介が?」
聞き間違いだろうか。みのりは半信半疑のまま訊ねる。
しかし雅仲は首を縦に振り、肯定を表した。
「そうです。だから祖父は涼介こそが雪姫様本来の願いを成就する
ため、黄梅に欠かせない人物である、と信じていました」
「本来の願い? それはどういう意味ですか?」
雪姫の願いなど聞いたことがない。梅宮が黄金梅と黄梅を守って
いくことが雪姫の願いではないのだろうか。雅仲から繰り出される
言葉が衝撃すぎて眩暈がしそうだ。それでも必死になって追い
縋ろうとするが、こちらの疑問を遮るように碧が話を戻した。
「それは珍しいですね。つまり、梅畑家では『黄金梅の種』を握って
生まれてくる人間が定期的に存在するということですか……」
碧の問いに雅仲が小さく頭を左右に振る。
「それは違います。ですが祖父涼蔵は、美都子様のなさりように
憂えておられました。雪姫様の意志はそんなところにはないと。
そしてこのまま進んでしまうことを危惧しておりました」
『黄金梅の種』を持って生まれてきた人間についての話では
なかったのだろうか。みのりが訝しく思っていると、碧が雅仲の
話を整理するように要点だけをまとめた。
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