Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
GIA
規則正しい秒針の音だけが室内に響く。
涼介の話が心に響いたのだろうか。山波は何かを考えるように
腕を組んだまま口をつぐむ。そして地蔵のように動かなくなった。
「山波さんは先ほど、雪姫様を慕う獣人の方々は別だとおっしゃい
ましたよね?」
山波の考えがまとまるまで待とうとも思ったが、みのりは我慢
できず話しかける。閉じていた瞼がゆっくりと開き、眉間に皺を
寄せる山波と目が合った。
「言ったな」
しゃがれた声で肯定する山波に、心の内でほくそ笑む。
これで言質は取った。みのりは身を乗り出し、彼へ詰め寄る。
「それなら獣人の皆さんがすべて雪姫様を慕っている場合はどう
なるんですか? 山波さんの言い分だとすべての獣人が別という
ことになりますよね」
「そ、それは、そう……です……が……」
見るからに落ち着きがなくなった山波に、紅が追い打ちをかけた。
「時代、関係ない」
「さすが僕の紅だ。よいことを言う」
碧が我が事のように胸を張り、義妹を絶賛する。それに追従する
ように涼介が続いた。
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