Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
GIC
「山波さん。私は涼介の言う通りだと思います。
人は変われるし、分かり合えます。現に山波さん自身が
そうじゃないですか。親しい獣人の方がいらっしゃる」
みのりは、山波をじっと見つめながら語りかける。
『人は変われるし、分かり合える』
黄金梅のことがなかったら、そんな風には思わなかっただろう。
むしろ母親との確執から、人は変われないし分かり合えないと
否定していたに違いない。だが、黄金梅の種を植えたことが
きっかけで、あれほど毛嫌いしていた涼介を好きになった自分が
ここにいる。叶わない恋になってしまったが、それでも幼い頃の
わだかまりも解け今では普通に会話ができるほどだ。
こんなふうになるなんて、家出をする前は想像もしていなかった。
(私が変わったんだもの、山波さんだってきっと……)
獣人の長老たちのことを思い出しているのだろうか。
山波が呻くように言葉を詰まらせる。
「う……」
「みのりさん……」
「鹿さん、今!」
涼介に名前を呼ばれたような気がし、彼を見る。しかし飛田へ
合図を送る紅の声に、みのりは涼介から鹿の獣人へ目線を移した。
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