Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIB
「大丈夫かい?」
どうやら涼介が尻もちをつかないよう、支えてくれたらしい。
礼を言おうと横を向く。眼前に涼介の心配そうな顔が写り込んだ。
みのりはあまりの近さに息を呑み込む。
(ど、どどどうしよう。変に動いちゃったら頬にキスしちゃいそう)
動けずに固まっていると、突然振動とともに紅の低い声が耳に
届いた。
「邪魔」
そばにあった涼介の顔が紅の一声で離れていく。
みのりはホッと胸をなで下ろした。
(よかった。紅がきてくれて)
背中を支える腕が涼介から紅のものへと替わる。
もしかしたら猪の手になっているのかもしれない。
服越しにゴツッとした固いものがあたっている。
(いくら人助けとはいえ、他の人を抱きかかえる姿なんて
見たくないものね……)
獣化してしまうほど動揺させてしまったみたいだ。
みのりは申し訳なく思った。悲しげに俯く紅の顔に胸が痛む。
すると、涼介が肩をさすりながら立ち上がる音が聞こえてきた。
紅に押された拍子にバランスを崩して尻もちをついてしまったらしい。
「あれ、なんかさっきより当たりがきつくなってないかい、紅さん?」
「フンッ」
紅が鼻を鳴らしそっぽを向く。涼介が眉を下げ、参ったなあと
言うように後頭部へ手をやった。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|