Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CF




「そのようですね。

市長殿、君は一度導くという言葉を辞書で開いた方がいいと

僕は思いますよ」


 肩を竦める碧に、市長はすぐさま反論する。


「変態にそんなこと言われる筋合いはないな」

「だから! 失礼なこと言うなって言ってるだろ!」

「本当のことだろう」


 末弟に怒鳴られても市長はこたえた様子がない。

むしろ愉快気ににやりと口角をあげる。


「変態という言葉を一緒に辞書で引いてみたはいかがですか?

ちなみに僕は一途なだけです」

「はっ!」


 飄々と言い返す碧に、市長が盛大に鼻を鳴らす。

そして冷めた目で側近を見返していた。


「お前も一途という字を辞書で引いてみるんだな」

「きっと僕のことが書いてあるでしょうね」

「奇遇だな。私もだよ」


 にっこり笑みを深くする碧に、市長が微笑み返す。

うすら寒い空気に、みのりは腕をさすった。


(もうこの2人は……)


 矢継ぎ早に繰り広げる会話に口を挟むこともできずにいると、

紅のぽつりと呟いた。


「幼稚な争い」


 彼女の一言で静まり返る。

気まずげに言葉を詰まらせる2人と見て、みのりは心の中で紅を

褒め称えた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む