Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIB




「いやすみません。根が正直なので、

思ったことがついポロッと出てしまうんですよ」


 碧が市長の嫌味をさらりと受け流す。


(たしかに正直者と言えば正直者と言えなくもないわね)


 だが、彼の場合は『ついポロッと』ではない。

相手に最もダメージを与える場面を計算し、言葉を紡いでいる。

しかし市長はそれを認めたくないのだろう。胡散臭そうな顔を

碧へ向けていた。


「君が正直者? それは本当の正直者に申し訳ないというものだろう」

「僕は僕以上に正直な人間を見たことありませんけどねー」


 せっかく雅仲が仲裁してくれたというのに再び一触即発な空気に

なる。みのりはため息混じりに側近を諌めた。


「碧。市長の変な挑発に乗るなんて大人げのない態度をとるのは

よしなさい」

「ハハハ。申し訳ありませんお嬢様。

大人げない市長の挑発に乗ってしまって」

「大人げない」


 無意識に暴言を吐いていたようだ。

だがそれが、側近兄妹の笑いのツボを刺激したらしい。

碧と紅がニヤニヤと瞳をかまぼこ型にしている。


(やだ、私ったら。ついポロッと……)


 みのりは内心で焦りを覚えたが、それをおくびにも出さず市長へ

視線をやった。










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