Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CID
「参ったなあ……」
「雅仲兄、おかわりお願いできるかな?」
今、お茶をおかわりしたばかりなのにもう飲み干してしまった
のだろうか。みのりが目を見開き涼介を見ると、雅仲も同じような
顔で弟を見ていた。
「え? もう? あーはいはい」
雅仲は涼介の要望を叶えるべく席を立つ。
みのりは内心で首をかしげた。
(今の何か別の思惑があったのかしら?)
始め驚いた様子だったが、雅仲はすぐ得心したような表情に
なっていた。
(変な空気になっちゃったから、
それを払拭するためにお願いしたのかしら?)
みのりが黙考していると、碧が小さく咳払いをする。
「ところでまだ居座る気なのですか、市長殿?」
「もちろんだよ。何しろみのり様には正気に戻っていただか
なくてはならないのだからね」
鷹揚に頷く市長をまっすぐ見つめ、みのりはきっぱりと言い放つ。
「私は正気です」
「そうですよ。みのりさんに対してあんまりな言い方じゃないですか。
改めてください、雅秋兄さん」
援護とばかりに涼介が市長を責め立てる。
だが、市長はそれには応えずこちらへ視線を向けたまま
ニコリと微笑んだ。
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