Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CID




「参ったなあ……」

「雅仲兄、おかわりお願いできるかな?」


 今、お茶をおかわりしたばかりなのにもう飲み干してしまった

のだろうか。みのりが目を見開き涼介を見ると、雅仲も同じような

顔で弟を見ていた。


「え? もう? あーはいはい」


 雅仲は涼介の要望を叶えるべく席を立つ。

みのりは内心で首をかしげた。


(今の何か別の思惑があったのかしら?)


 始め驚いた様子だったが、雅仲はすぐ得心したような表情に

なっていた。


(変な空気になっちゃったから、

それを払拭するためにお願いしたのかしら?)


 みのりが黙考していると、碧が小さく咳払いをする。


「ところでまだ居座る気なのですか、市長殿?」

「もちろんだよ。何しろみのり様には正気に戻っていただか

なくてはならないのだからね」


 鷹揚に頷く市長をまっすぐ見つめ、みのりはきっぱりと言い放つ。


「私は正気です」

「そうですよ。みのりさんに対してあんまりな言い方じゃないですか。

改めてください、雅秋兄さん」


 援護とばかりに涼介が市長を責め立てる。

だが、市長はそれには応えずこちらへ視線を向けたまま

ニコリと微笑んだ。










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