Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CII@
市長と向き合おうとしている涼介の役に立ちたい。
そんな思いからみのりは、必死に言い募る。
「涼介の言葉をちゃんと聞いてあげてください!
涼介はあなたのあやつり人形じゃないんですよ。
まるで束縛……いいえ、これじゃあ束縛を通り越して呪縛です。
涼介には涼介の人生があるのに……人の自由を奪う権利なんて
あなたにはないはずです!」
市長から視線を逸らすことなく告げる。
一息で言い切ったため息が切れた。それでも言いたいことは
言ったはずだ。
(どうか市長の胸に届いて!)
しかしみのりの願いは雅秋には響かなかったようだ。
軽く微笑んだあと、肩を竦め見つめ返してきた。
「あやつり人形だなんて思っていませんよ。
ただ、この子は昔から私が直々に試練を与えなければ自ら
考えることもしない奴でしてね」
彼のために言った言葉は、
もしかしたら自分が言ってもらいたい言葉だったのかもしれない。
母から言われ続けていた呪いのような言葉。
立派な当主になるため、『私』を捨て『公』に生きろ。
黄金梅と黄梅市を守るためだけに存在していると自覚しろ。
いつも逃げ出したかった。自分を見て欲しい。何度も訴えた言葉は
毎回切って捨てられる。だから涼介の気持ちが痛いほどわかった。
市長に彼の気持ちが通じれば、自分の気持ちも母に伝わるかも
しれない。そんな打算的な思いが雅秋にはわかっていたのだろうか。
すげなく返された言葉に、みのりは感情をむき出しにして叫んだ。
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