Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIIA




「あんなの試験じゃありません!

市長は自分のエゴを涼介に押しつけてるだけです!」


 みのりは肩で息をつきながら市長を見据える。雅秋は驚いた様子で

まばたきを繰り返していた。声を荒げるほど涼介に肩入れするとは

思っていなかったのかもしれない。

 市長が何も反論しないことをチャンスと捉えたのか、

涼介が彼にされた仕打ちを暴露し始める。


「そうだよ。雅秋兄が俺の大切にしているものを壊していってしまう

からだろう? まったく知らない場所で置いてきぼりにされたり、

鳥を蛇の餌にした時も、雅秋兄は試練だって微笑んでた。

正直言って、俺はあんたが怖かったよ。だから俺は何も欲しがらず、

深いことも考えないようにして生きてきたんだ。

友人さえも禄にできないままね」


 悲しげに、けれども淡々と語る涼介にみのりは胸が痛んだ。

大人がされても逃げ出したくなるほどの行為だっただろう。

それを幼い子供だった涼介は耐えてきたのだ。

どれほど辛かったことか、想像に難くない。

眼前に座っている高松も沈痛な面持ちで顔をしかめている。

明らかに常軌を逸している行いのはずだ。それなのに市長は涼介の

訴えをどこ吹く風と言わんばかりに受け流した。










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