Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIIH




「ああ。どうあっても山波さんを説き伏せてみせるよ」

「すごい自信だなあ」


 胸を張って応じる涼介へ、高松が揶揄とも賛辞ともつかない

感想を漏らした。それが覚悟を決めた涼介を惑わしているように

思え、みのりは高松へ顔を向ける。


「山波さんはきっとわかってくれてます」

「そうだといいけどね」

(私たちにはできないとでも思っているんでしょうけど、

お生憎様なんだからね!

というか高松さんはこっちの味方だったんじゃなかったわけ?)


 みのりが肩を竦めて見せる高松に内心で腹を立てていると、

市長が身じろいだ。


「……わかった。やれるものなら、やってみるがいい」

「うん。やってみるよ」


 涼介が屈託のない笑みを見せる。

市長は末弟の表情に驚いた様子で目を丸くした。


「お前……」

「心配してくれてありがとう」


 市長は礼を言われることに慣れていないのだろうか。

微かに顔を赤く染め、涼介から視線を逸らした。


「ふん……。高松」

「なんだい?」

「これ以上ここにいる必要はなくなった。帰るぞ」


 早々に立ち去ろうとする市長に対し、高松は展開の速さに

ついていけていないようだ。まじまじと市長を凝視している。

みのりはその気持ちが十分に理解できた。










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