Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIIH
「ああ。どうあっても山波さんを説き伏せてみせるよ」
「すごい自信だなあ」
胸を張って応じる涼介へ、高松が揶揄とも賛辞ともつかない
感想を漏らした。それが覚悟を決めた涼介を惑わしているように
思え、みのりは高松へ顔を向ける。
「山波さんはきっとわかってくれてます」
「そうだといいけどね」
(私たちにはできないとでも思っているんでしょうけど、
お生憎様なんだからね!
というか高松さんはこっちの味方だったんじゃなかったわけ?)
みのりが肩を竦めて見せる高松に内心で腹を立てていると、
市長が身じろいだ。
「……わかった。やれるものなら、やってみるがいい」
「うん。やってみるよ」
涼介が屈託のない笑みを見せる。
市長は末弟の表情に驚いた様子で目を丸くした。
「お前……」
「心配してくれてありがとう」
市長は礼を言われることに慣れていないのだろうか。
微かに顔を赤く染め、涼介から視線を逸らした。
「ふん……。高松」
「なんだい?」
「これ以上ここにいる必要はなくなった。帰るぞ」
早々に立ち去ろうとする市長に対し、高松は展開の速さに
ついていけていないようだ。まじまじと市長を凝視している。
みのりはその気持ちが十分に理解できた。
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