Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIII




「え? それじゃあ、山波さんのことは諦めてくれるのかな?」


 確認するように問う高松へ市長が、鼻を鳴らす。


「高みの見物といくだけさ。

涼介、明日はお前達の覚悟、その場で俺も見せてもらう」

「俺は構わないけど、いいのかな?」


 長兄の有無を言わせない態度に、涼介が困ったように眉を下げる。

おもむろに彼がこちらを見てきた。


「勝手に話を進めないでください。

第一、あそこは関係のない人間は立ち入り禁止なんです。

いくら市長が梅八家だとしても部外者が入っていい場所じゃ

ないんです」


 みのりは目くじらを立てて抗議した。すると、高松が首を縦に

振りながら市長へ顔を向ける。


「ですよねえ。ちょっと無理があるんじゃないかい? 雅秋」

「案ずることはありません。

雪姫様の側仕えへ直々に頭を下げに向かいますので」


 市長が事もなげに言い放つ。

みのりがあっ気に取られていると、高松が愉しそうに手を叩いた。


「それは面白そうだ。俺も行くよ」

「ああ。……涼介。お前の覚悟と俺の覚悟。どちらが硬いか勝負だ」

(え?

了承したわけじゃないのになんで参加することになってるの?)


 訳が分からず瞬きを繰り返している間に、話がとんとん拍子に

進んでいった。


「わかった。俺、負けないよ」

「それは俺の台詞だ」


 もう用はないとばかりに市長が高松を引き連れ、出ていく。

みのりは最後まで何も言い返すことができず、彼らの背中を見送った。










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