Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIIIC




「え? ちょっと碧、何勝手に……」


 戸惑ったような声音で雅仲とこちらを交互に見てくるみのりを尻目に、

涼介は二人の提案へありがたく乗っかることにする。


「よかった! ありがとう、みのりさん」


 強引に結論づけると、雅仲が畳み込んでくれた。


「よかったなあ、涼介」

「ああ」


 もしかして、自分の決意が見透かされているのだろうか。


(それでもいいさ)


 むしろ碧や雅仲に後押しされているみたいで心強いくらいだ。


(ありがとうございます)


 壁へ目礼していると、みのりがさらに困惑しきった声をあげた。


「え? あの、ちょ、え?」

「それでは本日もよろしくお願いします」


 みのりを差し置き碧が一礼すると、雅仲がお辞儀を返す。


「はい。ごゆっくりなさってください」


 微笑む雅仲を前に言葉を失っているみのりへ、碧が促した。


「ほら、お嬢様もちゃんとお礼をおっしゃってください」


 ほとんど強引に話を進めていく碧の言葉に、

みのりの肩がぴくりと反応した。


「あ、はい。今日もお世話になります」


 気後れしたままなのだろう。

語尾が少しだけ尻上がりだ。

申し訳ない気分でこっそり苦笑していると、

紅がみのりの言葉へ倣いぺこりと頭を下げた。


「いえいえ。なんのお構いもできませんけど。よかったなあ、涼介」


 生温かい視線を向けられ、全身が沸騰する。


「やめてくれよ、雅仲兄……」


 非難の声をあげたが、想った以上に弱々しい声になってしまい、

内心で冷や汗をかいた。










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