Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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 市長との対峙に失われた英気を取り戻すためか、

それとも長兄と向き合った末弟へのご褒美だったのか。

夕食はお重からはみ出るほど大きなウナギが入ったうな重だった。

普段ならば山椒の香りとご飯に染み込んだタレに食欲をそそられ、

嬉々として味わっていただろう。

だが、そのあとに待っている山波への意思確認の前だったため、

みのりは気もそぞろに夕食を終えた。


 何度となく確かめた時計の針が、ようやく21時を指し示した頃。

手持ち無沙汰に持っていたカップをテーブルの上へ置く。


「あれから時間もずいぶん経ったわね。

そろそろ山波さんに連絡しても大丈夫かしら?」

「そうだね。そろそろいいんじゃないかな?」


 市長という壁を乗り越えたからだろうか。

涼介が爽やかな笑みとともに首肯してきた。


(やだ、なんか涼介かっこいい……)


 彼に見つめられ無性に恥ずかしくなる。みのりは顔を火照らせたまま

涼介から視線を逸らし、碧へ指示を出す。


「碧、たしかみんなで相手の声を聞きながら話ができる機能が

あったわよね? それで山波さんに連絡をしてちょうだい」

「かしこまりました」


 こちらの提案に碧が一瞬驚いた表情を見せた。

きっと普通の電話をすると思っていたのだろう。

けれどそのことについて指摘することなく、側近は愉しげに

口元を緩めスマートフォンを取り出した。










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