Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIG
「紅ー。ひどいよ。冷たいよー」
みのりは、情けない碧の姿を微笑ましそうに見つめている涼介に
唖然とする。
(あれを見てもまだ好印象なの? どれだけ盲目的なの)
これが女性と男性の違いなのだろうか。みのりはがっくりと肩を
落とした。同時に、自分ではなく碧へ好意を向ける涼介が憎らしく
思えてくる。みのりは八つ当たりするかのように彼を睨みつけた。
「私は嫌よ! それにそんな暇なんてないでしょう!
早く山波さんを追わなくちゃいけないのよ!」
「う、うーん……確かにそうだよな。
あの、碧さん、そろそろ我が家へ向かおうかと思うんですが。
俺運転免許持ってないし、どうしたらいいですかね?」
襟足をなでながら指摘する涼介の言葉にハッとする。
(車がないこと忘れていたわ)
涼介の碧に対する好感度を気にしている場合ではない。
早いところあの男の気分を上昇させなくては。
みのりは特効薬でもある紅を見る。
「そうよ。ここから涼介の家に車がなきゃ絶対つかないわよ!
ね、紅?」
「車、早く」
案の定、紅の一声で、碧がやる気を漲らせた。
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