Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「紅ー。ひどいよ。冷たいよー」


 みのりは、情けない碧の姿を微笑ましそうに見つめている涼介に

唖然とする。


(あれを見てもまだ好印象なの? どれだけ盲目的なの)


 これが女性と男性の違いなのだろうか。みのりはがっくりと肩を

落とした。同時に、自分ではなく碧へ好意を向ける涼介が憎らしく

思えてくる。みのりは八つ当たりするかのように彼を睨みつけた。


「私は嫌よ! それにそんな暇なんてないでしょう!

早く山波さんを追わなくちゃいけないのよ!」

「う、うーん……確かにそうだよな。

あの、碧さん、そろそろ我が家へ向かおうかと思うんですが。

俺運転免許持ってないし、どうしたらいいですかね?」


 襟足をなでながら指摘する涼介の言葉にハッとする。


(車がないこと忘れていたわ)


 涼介の碧に対する好感度を気にしている場合ではない。

早いところあの男の気分を上昇させなくては。

みのりは特効薬でもある紅を見る。


「そうよ。ここから涼介の家に車がなきゃ絶対つかないわよ!

ね、紅?」

「車、早く」


 案の定、紅の一声で、碧がやる気を漲らせた。










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