Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CDIH
「今さら隠さなくたっていいわよ。
たしかに言い出しにくいことかもしれないけど……」
涼介の視線から逃げるように、顔を逸らす。
だが彼は、こちらの意を返すことなく攻め寄ってきた。
「隠すとか隠さないとかじゃなくて!
つまり、つまり俺が言いたいのは……!」
「だからもういいってば!
話がそういうことなら私はもう家の中に戻るわね」
みのりは、なおを続けようとする涼介の言葉を遮った。
そのまま踵を返そうとした時だ。
「君が好きなんだ!」
後ろから聞こえてきた叫びにも似た声に、足がとまった。
「……え?」
今彼は何と言ったのだろうか。みのりが瞠目したままでいると、
涼介がまっすぐに見据えてくる。
「俺は、君が、好きなんだ」
「な、何を言ってるの?」
訳がわからない。だが確かに、涼介は自分のことを好きだと言った。
そういう風には聞こえなかったが、人間性が好きだということだろうか。
みのりはまとまらない思考に顔をしかめる。
涼介が慌てた様子で捲し立ててきた。
「な、何って……。そりゃ、俺は君より年上だし、碧さんより頼りない
かもしれないけど。でも俺は君のことが好きで、大切なんだ」
涼介がじっと見つめてくる。その瞳は真剣そのもので、微かに
潤んでいるようにも見えた。
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