Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CEIC




「ひどい! 紅のこと遊びだったっていうの?

涼介はそんな人じゃないと思ってたのに!」


 ぎらぎらと輝く目で見据えられ、涼介は目を見開く。

あまりな言いように腹が立ち、足を高く打ち鳴らした。


「遊びって! そもそも俺、紅さんのこと知ったのつい数日前なんだぞ!

それなのになんで君にそんなこと言われなくちゃならないんだよ!」


 恋する相手に謂われのない誤解を受けるのは心外だ。

はっきりと違うと言っているのに、なぜこの娘(こ)には伝わらないのだろう。

奥歯をぎりぎり噛み締めていると、今度はみのりが長い髪を振り乱した。


「出会いなんて関係ないじゃない!

そんなの会った瞬間に恋に落ちちゃうことだってあるでしょう! それが何よ。

あなたは情に厚い人だと思っていたのに紅をいいように

弄ぶだけ弄んで! ひどすぎるわ!」


 激しく首を左右に振って人でなし呼ばわりするみのりへ、涼介は絶叫する。

これだけ嫌われているならもうどうでもいい。

みのりがどれだけ真実をねじ曲げ自分の言葉を打ち砕こうと、

この想いだけは嫌というほどわからせてやる。


「俺は紅さんを友人以上に思ったことなんかない!

俺が好きなのは昔も今も君だけだ!

確かに冷たい人間かもしれないし碌な大人になってないかもしれないけど!

でも、君を好きな気持ちは誰にも負けない! いいか!

俺は梅宮みのりが好きなんだ!

次期当主だとか梅八家なんて、そんなのくそ食らえだ!」


 そうだ。本当は初めて会った時から惹かれていたのだ。

白くて可愛いワンピースを着たあの少女を、笑わせたいと思っていたのだ。

涼介はみのりのことを睨み据えた。










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