Gold Plum

第六章


対峙


〜みのり＆涼介の場合〜


三


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「お嬢さまなのに気遣い屋で、いじっぱりで、

変なふうに妄想しちゃったりもするけど誰よりもみんなの幸せを願ってる。

そんな優しい女の子である梅宮みのりが俺の中では一番大切なんだ」

「ちょ、ちょっと待ってってば！　落ち着いて。ねっ」


　ぐいぐいと胸を押し除けようとしてくるみのりをよそに

涼介はかぶりを振る。


「いやだ。君はいつも明後日のほうに物事考えるくせがある。

今は俺のことだけ考えてほしい。君が好きだ」


　これ以上逃がしはしない。


（さあ、おもいっきり拒絶してくれ！）


　現実をつきつけてくれ、とばかり、

さらに彼女の腕を強く握り締めると、みのりが天を仰いだ。


「わ、わかった。わかりました！　だからちょっと黙って！

ちょっとだけだから私に深呼吸をさせて！」


　叫ぶみのりに面食らい、目を見開く。

途端に熱が引いて、我に返った。


「あ……。ご、ごめん」


　慌てて握り締めていた腕を解放すると、

みのりは逃げるでもなくその場で深呼吸し始める。

予想していたものと違う展開についていけず、

涼介はとりあえず鳥の巣になっていた髪を元に戻すことにした。