Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CFI




 もっと可愛い言い方だってあるのにどうしても

涼介の前だとそれができない。みのりはぼやけ出した彼の顔を

睨みながら、子どものような癇癪を起こした。


「な、何よ! 涼介が悪いんでしょ!

きゅ、急に、告白してきたり、き、キスするとかいうからー」

「そりゃ俺の本音なんだから……って泣くなよ。わ、悪かったよ」


 涼介がわたわたと慌て出す。みのりは図星を指され、そっぽを

向いた。


「な、泣いてなんかいないわよ!」

「わかったわかった。

ふーとにかく、何度も言ってるけど俺は君の気持ちの整理が

ついた時に返事をくれればいいから。ずっと待ってるからさ」

「今じゃなくていいの?」


 なぜ返事がいらないのだろうか。すぐにでも言えるのに。

不思議に思い問い返すと、青年は静かに首肯した。


「ああ。これもさっきから言ってるけど、黄金梅のほうが先、だろ?」

「黄、金、梅……! そ、そうね。黄金梅!」

「ああ」


 自分の置かれている状況をすっかり忘れていた。

まずは黄金梅を実らせることが先決だ。みのりは頷く涼介を

まっすぐに見据え、決意を語る。


「明日、みんなと一緒に黄金梅を実らせましょうね」

「ああ。明日!」

「ええ」


 堂々とした表情で同意してくる青年を頼もしく感じながら、

みのりは首を縦に振った。だが彼のように自信を持つことができず、

弱気な気持ちを吐露する。


「今度こそ実るわよね」

「実るさ、必ず!」


 涼介が力強く言葉を返す。その声にみのりは勇気が貰えた

気がした。










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