Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
III@
「ちょっと碧、何勝手なこと言ってるのよ!
山波さんは自分で逃げ出しちゃったのよ」
碧を諌めようと止めに入る。だが、涼介が行く手を阻んできた。
「まあまあ、みのりさん。ここは碧さんに任せておけば大丈夫だから」
「それはそうかもしれないけど……」
みのりは、馬を宥めるかのように両手を胸元へあげる涼介を、
恨めし気に見つめる。その間に、碧は次のステップへと話を進めて
いた。
「僕たちがいる場所ですか? 梅願神社のそばなんです。
あの梅の木がたくさん生えている。ええ。そうです」
「鹿さん、いい鹿さん」
どうやら飛田の了承が貰えそうな雰囲気だ。その内容に紅も嬉しそうに
口元を綻ばせる。おもむろに涼介が肩を軽く叩いてきた
「もうちょっと待っていようよ。ね?」
涼介からにこりと優しく微笑まれ、体温が1℃上がった気がした。
じっと見てくる彼の眼差しに恥ずかしくなる。
「うっ、わかったわよ」
みのりが腕を組みそっぽを向くと、ちょうど碧の依頼も無事に
達成したようだ。さわやかな笑みを浮かべている側近の顔が見えた。
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