Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
E
「褒め言葉として受け取っておきましょう。それでは失礼しますね」
形ばかりが丁寧な言葉に涼介は溜め息を吐く。
やはり相当ご立腹のようだ。
「はい」
雅仲の誘導で車に辿り着き、車内へ乗る。
自分はもちろんみのりの隣へ座りたかったが、やはり邪魔が入った。
(紅さんってまさか本当にみのりさんを……?)
それは困る。とんでもないライバルだ。
みのりは紅とそれこそ姉妹のようにして育ったのだから。
(あ、でも家族だから、とか?)
よくわからない。
だが、自分が歓迎されていないことだけはよくわかる。
(せっかく手を握れるチャンスかと思ったのになあ……)
大事な時にそんなことを考えてしまうのは不謹慎だとは思いつつ、
みのりを見つめる。
だが、みのりがこちらの視線に気づく様子は終ぞなかった。
(これって振られるパターンなのかな)
昨夜のみのりの様子を思いだし、また吐息する。
嫌がっているという様子はなかったとは思うが、
相当驚かせてしまったらしい。
(意識してくれてるかと思えばそうでもないしなあ……)
頬を掻いているうちに、車が動きだした。
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