Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





E




「褒め言葉として受け取っておきましょう。それでは失礼しますね」


 形ばかりが丁寧な言葉に涼介は溜め息を吐く。

やはり相当ご立腹のようだ。


「はい」


 雅仲の誘導で車に辿り着き、車内へ乗る。

自分はもちろんみのりの隣へ座りたかったが、やはり邪魔が入った。


(紅さんってまさか本当にみのりさんを……?)


 それは困る。とんでもないライバルだ。

みのりは紅とそれこそ姉妹のようにして育ったのだから。


(あ、でも家族だから、とか?)


 よくわからない。

だが、自分が歓迎されていないことだけはよくわかる。


(せっかく手を握れるチャンスかと思ったのになあ……)


 大事な時にそんなことを考えてしまうのは不謹慎だとは思いつつ、

みのりを見つめる。

 だが、みのりがこちらの視線に気づく様子は終ぞなかった。


(これって振られるパターンなのかな)


 昨夜のみのりの様子を思いだし、また吐息する。

嫌がっているという様子はなかったとは思うが、

相当驚かせてしまったらしい。


(意識してくれてるかと思えばそうでもないしなあ……)


 頬を掻いているうちに、車が動きだした。










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