Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
C
「君のお兄さんが何かを企んでいることは僕も想定していました。
それはみのりお嬢様も同じでしょう。
ですが高松とつながっているとは、僕も想定外ですね。
学生時代の君のお兄さんだったら決して高松となんて
手を組もうとは考えなかったはずだ」
何かを吟味するように紡がれた言葉に、涼介は目をしばたたく。
雅秋の学生時代を想像しようとして、諦める。
自分の中の長兄はいつも眼前に立ちはだかる巌(いわお)のようなイメージだった。
「学生時代の兄、ですか? あまり想像つかないんですが……。
どんな感じだったかお訊きしてもいいですか?」
好奇心が勝ってしまい、間抜けな質問をしてしまう。
しまった、と眉を顰めている先で、碧が口元に指を置いた。
「うーん。そうですね。
僕はあまり他人に興味がある方ではないのでよく覚えていないのですが、
とても優秀な男だったと思いますよ?
身分の線引きをきっちりと引くような男だったと思います。
だからなおさら高松の存在を疎んじたんでしょうね」
碧の答えに涼介はなぜか安堵する。
やはり学生時代であっても長兄は長兄だったのか。
思って頬を掻いているうちに、ふと気がついた。
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