Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
IE
「ぼ、坊主! 言うな! それは今言うな!」
太一の口をふさごうとする山波がほほえましく、
涼介は飛田を見やる。
「よかったですね、飛田さん」
「はい! 嬉しいです!」
「ふふふ良かったわね。飛田君」
感激し興奮ぎみの飛田へ、野木崎がいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「はい。皆さんのおかげです。ありがとうございます」
芽衣子が飛田のスーツの袖を掴みながらお辞儀すると、
碧がいえいえ、と首を横に振った。
「僕たちは何もしていませんよ。
すべては山波さんが変わられたおかげです。良いお父様ですね」
「ありがとうございます」
碧が柔和な声で語りかけると、芽衣子の目が輝いた。
(さすが碧さん)
駄目なことには容赦がないが、
褒める時は手放しに相手を認めることができる。
こんな人の下で働ける人間は幸せだろう。
(就職は梅田家の会社を目指そうかな)
そして、彼に少しでも近づきたい。
身内から反対されるだろうが、すべてが終わったら兄たちに話してみよう。
涼介は碧の横顔を見つめながら密かに決意した。
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