Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「ぼ、坊主! 言うな! それは今言うな!」


 太一の口をふさごうとする山波がほほえましく、

涼介は飛田を見やる。


「よかったですね、飛田さん」

「はい! 嬉しいです!」

「ふふふ良かったわね。飛田君」


 感激し興奮ぎみの飛田へ、野木崎がいたずらっぽい笑みを浮かべた。


「はい。皆さんのおかげです。ありがとうございます」


 芽衣子が飛田のスーツの袖を掴みながらお辞儀すると、

碧がいえいえ、と首を横に振った。


「僕たちは何もしていませんよ。

すべては山波さんが変わられたおかげです。良いお父様ですね」

「ありがとうございます」


 碧が柔和な声で語りかけると、芽衣子の目が輝いた。


(さすが碧さん)


 駄目なことには容赦がないが、

褒める時は手放しに相手を認めることができる。

こんな人の下で働ける人間は幸せだろう。


(就職は梅田家の会社を目指そうかな)


 そして、彼に少しでも近づきたい。

身内から反対されるだろうが、すべてが終わったら兄たちに話してみよう。

涼介は碧の横顔を見つめながら密かに決意した。










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