Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIA




 高松のせいで距離が離れてしまった面々から太一だけが

梅田のみへと駆け寄ってくる。


「あ、雪姫様だー。今日は寝てないんだね」


 太一のおかげで一触即発だった空気がしぼんだ。

みのりはホッと胸をなでおろす。

梅田のみも、高松の態度に雪姫の危険を察知したのだろう。

これ幸いとばかりに、籠を覗き込んでいる太一へ籠を渡した。


「太一様、どうか雪姫様を」


 よろしくお願いします。梅田のみが頭を下げた。

そして先ほどまでの凍てつくような眼差しが嘘だったかのような

笑みを、太一へ向ける。


「わかったー。

雪姫様、ぼくがみんなのところに連れて行ってあげるねー」


 太一は両手で籠を持ち、籠の中にいる雪姫へ話しかけた。

そして、揺らさないように山波たちがいるところへ踵を返す。


「雪姫?」

「のみさんの別名じゃないか?

そんなことよりのみさん、ぜひわたしたちをこの一行にお加え

願いたく……」


 良くわからない、といった態の市長に対し、高松が素っ気なく

応えた。雪姫が見えない彼らにしたら当然の態度かもしれないが、

見えているこちら側にとっては彼らの態度の方が滑稽に映る。

なおも梅田のみへ低頭する高松を横目にみのりは、みんなの輪の中へ

戻った太一たちへ意識を向けた。


「初代さま、またお会いできて嬉しいです」


 太一を囲むように口々に雪姫へ挨拶する面々とともに、籠の中を

覗き込む涼介の顔が見えた。










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