Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
AIF
我慢の限界だ、と涼介は咄嗟に言葉を切る。
「だ、だから! まだ春でも夏でもないですって!
へ、返事待ちなんで……」
語尾を濁してみのりを窺うと、
みのりが頬を染めたまま両の拳を握るのが見えた。
「い、いい加減にしなさーい!
そんなことを言ってる場合じゃないでしょう!」
怒鳴るみのりに太一が目を見開く。
「わぁ! みのり様が怒った」
怒られてるのに楽しげな太一にみのりが鼻白む。
(そりゃそうだよな)
何を言っても邪気のない太一が相手では怒鳴っても効果はない。
(毒気を抜かれるってもんだよな)
みのりにとっては、
のれんに腕押しというこの状況自体初めての経験かもしれず。
そう思うとおかしさがこみ上げてきて肩を揺らしていると、
脇の方から声があがった。
「何が何やらさっぱりだな」
困り切ったように眉間へ皺を寄せるみのりを眺めながら、
雅秋がゆるゆるとかぶりを振るのが見える。
そう思うならお帰り願おう。
口を開きかけるが、先に声をあげたのはまたしても高松だった。
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