Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
AIG
「どうでもいいさ。そんなこと! のみさん!
雪姫様なんて伝説の人を持ち出す必要がどこにあるんですか!」
高松が再び、梅田のみへ詰め寄った。どこか剣のある物言いに、
周囲の空気が悪くなる。
(あの人、本当について行きたいと思っているのかしら?)
横柄なものではないが、ここへ来てからの高松の態度は
少々自分本位に見えて仕方がない。
相手の気持ちを慮るどころか、わざと相手の気分を害しているの
ではないかと疑いたくなるほどだ。
みのりは眉間に皺を寄せた。そこへ、山波のそばにいたはずの
芽衣子がおずおずと高松へ話しかける。
「あ、あのう……。雪姫様はいらっしゃいますよ。ちゃんと。
でもちょっと事情があって、特定の人間しか見えないんです。
飛田君も見えませんし」
「はい。僕も見えません」
芽衣子を追いかけてきたのだろう。飛田が彼女を守るように
前へ立った。高松と市長は芽衣子の言葉に驚いているようだ。
しかし、その内容を素直に信じることができないのだろう。
顔をしかめ、黙考を始めた。
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