Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
BI
「それもそうよね。どうしたら帰ってくれるのかしら?
ってあなた高松さんって人の部下なのにそんなこと言っていいの?」
「正直言って、あの人苦手なんです。
何考えてるかちょっとわからないところがあって……」
同意する野木崎に、小越が胸の内を吐露した。その内容に
みのりは瞠目する。
(ちょっとこれは本当にマズイんじゃない?
もう、涼介も聞き入ってないで、とめなさいよぉ)
野木崎たちが頼りにならないことがわかった今、みのりは
涼介たちへ視線を飛ばす。しかし、彼らも小越たちの会話に
集中しているのか、誰一人として気づく素振りを見せなかった。
みのりは、本人たちが無自覚で発している悪口の被害者を
窺い見る。
(やっぱり怒ってるわよね?)
高松は眼鏡のフレームを片手で押さえていた。これはどういう
感情なのだろうか。顔の半分くらいが手で隠れてしまった高松の
表情は、苛立っているようにも見えるし、ショックを受けている
ようにも見えた。
「たしかに。ちょっと冷たい感じよねー」
「ですよねー」
野木崎の同意に小越が賛同するや、高松の足が動き出した。
みのりは彼の目的地であろう小越たちの方へ顔を動かす。
いつの間にか雪姫は籠の中から出ていたらしい。太一の肩に乗り、
野木崎を見あげていた。
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