Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BI




「それもそうよね。どうしたら帰ってくれるのかしら?

ってあなた高松さんって人の部下なのにそんなこと言っていいの?」

「正直言って、あの人苦手なんです。

何考えてるかちょっとわからないところがあって……」


 同意する野木崎に、小越が胸の内を吐露した。その内容に

みのりは瞠目する。


(ちょっとこれは本当にマズイんじゃない?

もう、涼介も聞き入ってないで、とめなさいよぉ)


 野木崎たちが頼りにならないことがわかった今、みのりは

涼介たちへ視線を飛ばす。しかし、彼らも小越たちの会話に

集中しているのか、誰一人として気づく素振りを見せなかった。

 みのりは、本人たちが無自覚で発している悪口の被害者を

窺い見る。


(やっぱり怒ってるわよね?)


 高松は眼鏡のフレームを片手で押さえていた。これはどういう

感情なのだろうか。顔の半分くらいが手で隠れてしまった高松の

表情は、苛立っているようにも見えるし、ショックを受けている

ようにも見えた。


「たしかに。ちょっと冷たい感じよねー」

「ですよねー」


 野木崎の同意に小越が賛同するや、高松の足が動き出した。

みのりは彼の目的地であろう小越たちの方へ顔を動かす。

いつの間にか雪姫は籠の中から出ていたらしい。太一の肩に乗り、

野木崎を見あげていた。










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