Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CID




「うん! あ、お姉さんって麻里お姉さんだよね?」


 太一が嬉しげに笑い、小越へ近づく。

みのりにはその眼差しが、いたずらを企てているように見えた。


(何かするのかしら?)


 密かに首をかしげていると、当事者である小越も同じ動作をした。


「え? あ、うん。そうよ」

「ふふふ。そうなんだー。おじちゃん!

お姉さんの名前、麻里っていうんだって」


 太一はきょとんとした表情の小越へ含み笑いをし、山波を見た。


「ふーむ。なるほどなあ。世間は狭いもんだ。なあ、坊主?」


 山波には太一の態度が理解できているみたいだ。

腕を組み、深く頷く。


「うん。ふふ、そうだねー。うんうん」


 笑い出したいのをこらえようとしているのだろうか。

まったく意味を成してはいないが、太一は口元へ手をあてている。

そして、物言いたげにちらちらと小越へ目線を送っていた。


「なんで太一君は先生の名前を聞いてあんなに笑顔になって

いるかしら?」


 山波が知っているのなら涼介も知っているだろう。

そう思い、みのりは彼へ問いかけた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む