Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
CID
「うん! あ、お姉さんって麻里お姉さんだよね?」
太一が嬉しげに笑い、小越へ近づく。
みのりにはその眼差しが、いたずらを企てているように見えた。
(何かするのかしら?)
密かに首をかしげていると、当事者である小越も同じ動作をした。
「え? あ、うん。そうよ」
「ふふふ。そうなんだー。おじちゃん!
お姉さんの名前、麻里っていうんだって」
太一はきょとんとした表情の小越へ含み笑いをし、山波を見た。
「ふーむ。なるほどなあ。世間は狭いもんだ。なあ、坊主?」
山波には太一の態度が理解できているみたいだ。
腕を組み、深く頷く。
「うん。ふふ、そうだねー。うんうん」
笑い出したいのをこらえようとしているのだろうか。
まったく意味を成してはいないが、太一は口元へ手をあてている。
そして、物言いたげにちらちらと小越へ目線を送っていた。
「なんで太一君は先生の名前を聞いてあんなに笑顔になって
いるかしら?」
山波が知っているのなら涼介も知っているだろう。
そう思い、みのりは彼へ問いかけた。
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