Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DIA




「それじゃ意味ないじゃないか」


 高松が眼鏡のブリッジをあげ、飛田たちへ詰め寄る。

八つ当たりをする彼に、みのりは顔をしかめた。


(勝手についてきたくせに、何言ってるのかしら)


 一言物申した方がいいだろうか。しかし、みのりが口を開く前に

市長が宥めるように高松の肩を掴んだ。


「少し落ちつけ。見ていればいずれ分かるだろう」

「あ、舞い終わるみたいね」


 聞こえてきた野木崎の声にみのりは雪姫へ視線を戻す。

彼女の言う通り、あと少しで舞い終わるみたいだ。

みのりは呑気に会話を続ける野木崎たちを尻目に、ゆっくりと瞼を

閉じた。


「これであの中に梅の果汁が入ってるんでしょう?

不思議よねー」

「本当ですよね。とっても美味しいですし」

「……だってさ。俺たちにはもらえないのかな?」


 小越の感想に高松が反応した。それに呆れた様子で市長が返す。


「……とにかく、今は待て」

「あ、忘れてたわ! 目をつぶらなきゃ」


 ようやく前回のことを思い出したらしい。

野木崎が慌てた様子で喚いた。雪姫の舞が終わったのだろう。

高松たちの悲鳴染みた声が響き渡った。










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