Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
DIA
「それじゃ意味ないじゃないか」
高松が眼鏡のブリッジをあげ、飛田たちへ詰め寄る。
八つ当たりをする彼に、みのりは顔をしかめた。
(勝手についてきたくせに、何言ってるのかしら)
一言物申した方がいいだろうか。しかし、みのりが口を開く前に
市長が宥めるように高松の肩を掴んだ。
「少し落ちつけ。見ていればいずれ分かるだろう」
「あ、舞い終わるみたいね」
聞こえてきた野木崎の声にみのりは雪姫へ視線を戻す。
彼女の言う通り、あと少しで舞い終わるみたいだ。
みのりは呑気に会話を続ける野木崎たちを尻目に、ゆっくりと瞼を
閉じた。
「これであの中に梅の果汁が入ってるんでしょう?
不思議よねー」
「本当ですよね。とっても美味しいですし」
「……だってさ。俺たちにはもらえないのかな?」
小越の感想に高松が反応した。それに呆れた様子で市長が返す。
「……とにかく、今は待て」
「あ、忘れてたわ! 目をつぶらなきゃ」
ようやく前回のことを思い出したらしい。
野木崎が慌てた様子で喚いた。雪姫の舞が終わったのだろう。
高松たちの悲鳴染みた声が響き渡った。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|