Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
五
DIC
「それでは皆様、盃を前へお出しください」
のみの厳かな言葉に涼介は姿勢を正す。
「はい。よろしくお願いいたします」
答えて盃を前へだすと、のみがお銚子を持ち梅果汁を注いでくれた。
「ありがとうございます」
一礼すると、後方から高松の落胆したような声が聞こえてくる。
「なんだ。やっぱり俺たちは飲めないんじゃないか」
「致し方ないだろう。決まりなのだから」
兄、雅秋の宥めるかのような声が聞こえてきて、涼介は苦笑する。
(昨日までの雅秋兄とは別人みたいだ)
高松のほうはどうにも納得がいかないためか、声に落ち着きがない。
対して兄、雅秋のほうはやたらのんびりした声音だった。
(これで帰ってくれるともっと楽なんだけど)
そこまで上手くはいかないらしい。吐息している間に、
6人全員へ果汁が行き渡った。
「みなさん。最後の確認です。前回と同じ願いでよろしいですか?」
「ああ」
涼介は凜としたみのりの言葉へ即座に同意する。
他の5人も口々に決意を口にし始めた。
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