Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
A
だが、美都子が怯む様子は見られない。
「あなたには聞いておりません。みのりさん、それが次期当主としてすることですか!」
「そ、それは……」
普段あんなに強気のみのりが言い淀む。
(負けちゃ駄目だ。みのりさん!)
一番分かって欲しい人間を前に自分の考えをぶつけ、
真正面から向き合うこと。
昨夜兄との対決を援護してくれたのは他ならぬみのりではないか。
(君もお母さんと向き合うんだ!)
涼介はみのりの心に響けと願いつつ、美都子へ反論した。
「そんなことは関係ないでしょう! 美都子様!
あなたはいつまで娘と向き合うことから逃げるおつもりですか!
みのりさん! 君も言ってやれ! 君の本当の願いを君の母親にぶつけてやるんだ!」
逃げないでくれ、念じながらみのりを見つめる。
みのりがまっすぐ自分を見つめてくる。
「涼介……」
みのりが呟く。
そのまま見つめ合うことしばし、再度みのりが口を開いた。
「わかったわ」
涼介は頷くみのりの肩へ手を置く。
「大丈夫だ。絶対に側にいる」
決意を込めて味方だと伝えると、一瞬だけみのりの瞳が明るく煌めいた。
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