Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





B




 涼介が隣にいてくれるだけで力が漲ってくる。

みのりは美都子から視線を逸らさず、真正面から見つめ返した。

近くから脅えた様子の太一の声が聞こえてくる。


「おじちゃん、何が始まるの?」


 山波に寄り添うように佇む太一の姿が目の端に映った。

美都子の突然の登場驚いているのだろう。無理もない。

自分だって心臓が止まるかと思うほど驚愕したのだから。

 山波がこちらに配慮するように、小声で応える。


「絶対に避けて通れない試練だ」

「試練なの?」

「そうだ」


 深々と首肯する山波に、みのりも心の中で頷いた。


(山波さんの言う通りだわ。

これは私が必ず通らないといけない試練)


 いつまでも母親から逃げていてはいけない。

涼介が市長と対峙したように、自分も美都子と向き合わなければ。


(でも私にできるの?)


 じっと見てくる美都子の鋭い眼差しに、さっき涼介から貰った

はずの勇気が萎み始める。


「大丈夫でしょうか……」


 小越の気遣うような声音に心臓が大きく脈打った。

それはまるでこちらの感情の変化がわかっているかのような

発言だった。










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