Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
六
G
「私は黄金梅を失うことは反対でしたよ。
みのりお嬢様の案に乗ったのは、ただ人間と獣人の間にある溝を
失くしたいと思っただけです」
律子の言葉に太一も頷く。
「ぼくはばぁちゃんに黄金梅の花を見せたいから。
『みんなが幸せになるように』って唱えれば、ぼくのお願いも叶うでしょう?」
誰にともなく問いかける太一へ涼介は深く首肯してみせた。
不安げな太一の表情が少しだけ和らぐ。
ほっと胸を撫で下ろしていると、みのりが言葉を重ねた。
「梅田のみさんから、願いを1つに。
と言われ話し合っていくうちに、私はこうも思うようになりました。
人間と獣人たちにある溝を失くしたい、と」
語るみのりに対し、美都子は冷静である。
「それはつまり先ほど梅畑さんがおっしゃったように、
獣人たちとの共存を願っているということですか?」
冷たい声音で問いかけられたみのりが気にかかり顔をそっと窺う。
だが、みのりの瞳に迷いの色はなかった。
「はい。盃を持つ6人だけでも最初は意見が割れました。
だから獣人との溝がとても深いことはわかっています」
現実を直視することは辛い。それでも彼女は前を向こうとしている。
(絶対に一緒だ)
もう逃げない。
この娘(こ)とともにいて、何がなんでも護るんだ。
涼介は決意を新たにした。
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